アジアの再興

 意外かもしれないが、アジア経済は18世紀後半の産業革命の前まで、世界のGDPの約60%を占めていた(アンガス・マディソンの推計)。しかし、その後の西洋の経済発展に伴ってアジアのGDPは次第に下降し、第二次世界大戦の後にはなんと一割強程度にまで落ちてしまった。
 しかしアジアは、さまざまな要因によって貧困から脱却し、国際連合の分析によると、2016年までに世界の所得の30%、世界の製造業の40%、世界の貿易の3分の1以上を占め、一人当たりの所得は世界平均に収束した。この驚くべきアジアの再興は、ジャワハルラール・ネルー大学経済学名誉教授デーパク・ナイヤール氏曰く、「歴史上殆ど前例の無いもの」であるようだ。各国がどのようにして復興していったのだろうか。
 経済発展の上で重要なのは、国家間の強い経済的結びつきである。台湾と香港、シンガポールとマレーシアは、とくに強い経済的結びつきを持っている。台湾は中国と直接取引ができないので、香港を経由する。シンガポールは自国の労働賃金が高騰したため、マレーシアなどに生産拠点を移転している。他にも、韓国と香港、シンガポールとタイなどの間でも強い経済的結びつきが見られる。
 また、教育の普及と平均寿命の上昇も経済復興に大きく寄与しているようだ。識字率の増加に伴って一人当たりの収入は増加し、貧困も削減された。これが急速な工業化と輸出の主導をするうえで基盤となったと、
先述したナイヤール氏は述べている。
 冒頭に述べた通り、アジアは驚くべき再興を遂げ、当分の間は経済成長が続くとの見通しから、21世紀は「アジアの世紀」になるともいわれている。とはいえ、スタンフォード大学のクルーグマン教授は、このアジアの経済成長は効率性や技術進歩によるものではなく、多くが資本や労働力などによるため、今後も継続して成長するというのは不可能だと述べている。アジアの再興を50年前に予想だにできなかったように、50年後の経済情勢がどのようであるかも想像がつかない。ブロックチェーンと仮想通貨がもたらす経済への影響も目が離せない。

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