Facebookがステーブルコイン「リブラ」の発行延期を明言

10月23日午前、米議会下院金融サービス委員会にてソーシャルメディア大手Facebookが計画を主導する仮想通貨「リブラ」に関する公聴会が実施された。

公聴会にてCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、

当初、2020年前半としていた「リブラ」の発行開始時期について、

批判に配慮する意味で、米国金融規制当局の懸念を完全に対処し、適切な承認を受けるまで全世界どの地域でもリブラの発行を始めないと明言し、事実上の先送りを容認した。

尚、米国の規制当局がステーブルコイン「リブラ」の計画を阻止すれば、中国中央銀行を含む、インターネット大手のアリババやテンセントなどの7つの機関に発行する独自の仮想通貨である「デジタル人民元」の脅威が世界的に影響力を増すと警告した。

そもそも、ステーブルコインとは価格を安定させるためドルや円など実在の通貨で価値を裏付ける仮想通貨である。スマートフォンを使って送金や決済といったサービスを安価に利用できるとしている。そのため、ステーブルコイン「リブラ」が一般化すればマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与をめぐる国際的な取り組みに関する新たなリスクや懸念を完全に払拭することは容易ではない。

この計画は、これまでにも多くの国の規制当局によって、金融の安定に対する懸念を払拭できないとして批判されてきた。

ザッカーバーグ氏は、当初参加を表明していたマスターカード、ビザ、ペイパル等の大手7社の提携企業がプロジェクトから撤退を表明した事についても、リスキーなプロジェクトだからだと認識していると述べた。

下院金融委員会は、Facebookが抱えるさまざまな問題を検討した結果、

リブラプロジェクト以前に同社の選挙と政治への干渉・独禁法・データ保護などの問題を解決する必要があると主張している。 ユーザーが世界人口の3分の1を占めており、グローバルなデジタル通貨を計画することには深刻な懸念があることは明白だと警告した。

一方で、ザッカーバーグ氏は、Facebookに対する信用性や批判も認識し、課題や問題点の懸念が存在していることを理解した上で、民間企業によるこのような技術革新が阻止されるようであれば、米国にとっても世界にとっても良い結果にはつながらない」との考えを重ねて示した。

加えて、リブラのウォレットを開発しているFacebookの子会社、Calibraは、すべての規制当局と協力して、人々が期待するマネーロンダリングまたはテロ資金供与対策の標準を確実に達成する」と主張した。

尚、リブラを発行する意義について、

リブラは送金を容易にすることが目的であり、法定通貨との競合や金融政策に影響を及ぼすことは意図していないと強調し、現時点で、私達が必要とするデジタル金融システムがないなどとも訴えた。

「リブラは主にドルを基軸とするデジタル通貨であり、世界におけるアメリカ金融分野のリーダーシップ拡大を信じている。

もしアメリカが革新しなければ、金融分野のリーダーシップは保証されない」と述べ、米国発の技術革新の必要性に理解を求める意向を示した。

ザッカーバーグ氏は、表現の自由を保護するFacebookの取り組みを強調しながら、

中国の成長する技術革新を米国の民主的価値に対する脅威として挙げた。

「世界中で多くの競争があります」

「過去10年間、主要なインターネットプラットフォームのほとんどが、米国企業でした。

しかし、今日、上位10社のうち6社は中国から出てきている」と述べ、米国連邦政府に国際的な競争に乗り遅れないよう対応するべきだと迫った。

米国が技術革新しないことのリスクについて話し合うことも願っている」との抱負も示した。

また、中国が独自にデジタル通貨への開発を進めていることについては、

中国経済に貿易上の優位性が生まれ、ドルへの依存が低減され、中国元のデジタル通貨が他の新興国などで流通する懸念もある。

ザッカーバーグ氏は同委員会で、リブラの事業化をめぐり、「対処が必要となる重要なリスクがある」と認め、金融システムの安定やテロ対策を講じた上で発行する意向を表明した。リブラにはマネーロンダリング(資金洗浄)など不正流用の防止策が求められと指摘、発行の条件としていくつかの「根本的な課題」を解決する必要があると述べた。規制当局として「管轄が異なる30以上の規制当局者と会談した」と明らかにし、各国当局と協力する考えを示した。

主流経済が仮想通貨を受け入れる場合、そのままの仮想通貨が独自の内部安定性、スケーラビリティ、幅広い導入を達成できるまでは、安定した価値を持つすぐに測定可能な通貨が必要だ。リブラは、政府にとっても使いやすいものでなければならない。

今後も「リブラ」に対する規制対応、運営の独立、プライバシー保護等の懸念を払拭するため、継続して検討が進められていく見込みである。

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